事業継続力強化計画チェックシートの記入例【入力の注意点】
事業継続力強化計画の認定を受けるためには、事業継続力強化計画(申請書)の他に、事業継続力強化計画申請書提出用チェックシートを記入し、申請する必要があります。
チェックシートの記入は難しいところはありませんが、具体的な記入例が公開されていないこともあって、チェックシートの記入誤りなどのケアレスミスによって補正指示(修正指示)の対象になってしまうことも見受けられます。
事業継続力強化計画の認定を受けるうえで、チェックシートの存在は大きなものとなっています。
事業継続力強化計画のチェックシートについて
チェックシートの書き方および記入上の注意点を整理していますので、提出前にご確認ください。
申請時の必須書類
事業継続力強化計画の認定申請時には、「申請書(計画書)」・「チェックシート」・「返信用封筒」の3つの書類が必須となっています。
出所:事業継続力強化計画策定の手引き(令和3年3月8日版)
事業継続力強化計画の認定申請を「電子申請」による方法で行う場合には、チェックシートへの記入は必須ではありません。電子申請を行う際に、チェックシートと同じ内容を画面上で入力(チェック)することになるからです。
従って、チェックシートの提出が必要であるか否かについては、紙による申請(郵送申請)であるか、電子申請(インターネットによる申請)であるかによって変わってくるものの、事業継続力強化計画チェックシートの記入事項の準備・整理は申請方法に関わらずいずれの場合でも必須になってきます。
事業継続力強化計画の電子申請についてはこちらで確認してください。
ダウンロード
事業継続力強化計画のチェックシートは、中小企業庁の事業継続力強化計画サイトよりダウンロードすることができます。
出所:中小企業庁 事業継続力強化計画
定期的に内容が変更・更新されていますので、申請時点での最新版をダウンロードするようにしてください。
なお、事業継続力強化計画の申請書(計画書)はワード(word)形式ですが、チェックシートに関してはエクセル(Excel)形式となっています。
通常はExcel上で入力(記入)したうえで印刷することになりますが、印刷したものに記入(記載)することでも問題はないでしょう。
内容の概要
事業継続力強化計画のチェックシートで入力が必要な内容は、大きく3つのブロックに分けることができます。
企業情報
申請者に関する情報です。特に難しいところはありませんが、国からの問い合わせ時にはこの情報に基づいて連絡が行われるため、正確に記入する必要があります。
事業継続力強化計画の内容チェック
作成した事業継続力強化計画において、それぞれの項目でしっかりと記載がなされているかを自分で確認するための、いわば自己チェック欄です。
その他
事例への協力有無、補助金との関連について記入します。
事業継続力強化計画申請書提出用チェックシートの記入例
具体的に、どのように記入をしていけば良いのかを解説していきます。
企業情報
1.事業者名
いわゆる企業名・屋号を記入します。事業継続力強化計画申請書に記入した事業者名と一致させる必要があります。
2.住所(返送先)
申請書類に不備があった場合に差し戻されたり、その他やり取りに必要となったりする際の返送先を記入します。事業継続力強化計画申請書の住所は、いわゆる本店所在地を記入することになりますが、チェックシートの住所(返送先)は本店である必要はありません。支店や工場、代表者の自宅などでも特に問題はないとされています。
ただし、紙による申請の場合には、認定書を返送してもらうために返送先を記載した返信用封筒を同封することになりますが、この返送先とチェックシートの返送先は合わせた方が良いでしょう。
返信用封筒の準備についてはこちらの記事を参考にしてください。
3.担当者名
代表者や管理者でなければならないという決まりはありません。
ただし、認定を受けるための審査(国による確認)過程で、国からの問い合わせや照会が行われる際の担当者ということになりますので、本申請書(事業継続力強化計画)の策定・作成に関与した人物とすることが不可欠です。
国からの照会や問い合わせに担当者が明確な回答ができないような場合には認定を受けるにあたってトラブルが生じる可能性が高くなります。
4.電話番号
3の担当者に繋がる電話番号を記入します。会社代表や部門代表電話番号のほか、担当者直通の携帯電話番号でも問題ありません。
5.担当者メールアドレス
担当者に連絡が取れるメールアドレスを記入します。
今までの傾向から、国からの修正指示はメールにより連絡がある、というケースがほとんどです。そのため、担当者直通のメールアドレスが良いでしょう(担当者個人のメールアドレスがない場合には、会社の代表メールなどとします。国からの内容照会や修正指示に関する連絡をしっかりと担当者に伝えることのできるメールアドレスとしてください)。
国からのメールには書類が添付されていることも多いため、いわゆるeメールアドレスとし、携帯電話のメールアドレス(キャリア発行のもの)は避けた方が無難です。
6.FAX番号
担当者にコンタクトできるFAX番号を記入します。
FAX番号を有しない事業者も最近は増えていますが、その場合には何も記入しないで大丈夫です。
7.Webページ
自社ホームページ(企業サイト)のURLを記入します。特に指示はありませんが、http:から記入しておくと良いでしょう。
例)https://kyoujinka.jp
ここに記入したURLは、中小企業庁の「事業継続力強化計画」認定企業一覧ページにて公表されます。誤りのないように注意が必要です。
また、企業サイトが対象となっており、現時点ではいわゆるSNS等に関しては対象となっていないようです。また、複数のサイトには対応していませんので、複数サイトを運営している事業者はメインとなるWebサイト1つに絞り込んで記入します。
8.決算月
自社の決算月を記入します。個人事業主の場合には12月と記入しておけばOKです。
内容チェック
事業継続力強化計画申請書の記載内容に漏れがないか、項目に沿って計画書をあらためて読み込んだうえで、問題なければチェックを行っていきます。
事業継続力強化計画のチェックシートは、Excel形式のファイルとなっており、あらかじめチェック欄にはプルダウン(ドロップダウンリスト)によって、「✓(チェック)」か「該当なし」を選ぶことができるようになっています。
この2択しかありませんので、項目ごとにいずれかを選ぶようにすると良いでしょう。
チェックシートの指示には、【…「✓」をしてください(該当しない欄には斜線又は「該当なし」を記入)】とあります。斜線でも構わないということですから、プルダウンメニューから選ばない方法でも特に問題はないということになりますが、Excelファイル上で入力する場合には斜線を引く方が面倒な操作が必要となるため、プルダウンから選ぶ方が簡単だと思います。
斜線でも構わないというのは、チェックシートへの記入をExcel上で入力するのではなく、いったん印刷したうえで直接記入(記述)する際への配慮であると考えられます。
チェック時にはしっかりと確認が必要です
チェックシートには複数のチェック項目があり、最初の3つぐらいを読むとすべてにチェックが入るようなイメージを持つことになると思います。
そのため、あまり深く考えずにそのまますべての項目をチェックしてしまう申請者がいますが、次の3つの項目に関しては注意が必要となります。
3-3 税制措置の適用を受ける場合は、事業継続力強化設備等の種類において、導入する設備等の詳細(型式まで)を記載している。確認項目を確認し、チェックをつけている。
本項目に関しては、税制措置の適用を受けない場合には「該当なし」が入ることになります。
税制措置(税制優遇)を受けない事業者の方が圧倒的に多いというデータがありますので、惰性でチェックをしないように注意が必要です。
3-4協力者を記載している場合、「名称」、「住所」、「代表者の氏名」、「協力の内容」の全てについて記載している。
申請書に協力者を記入していない場合には、ここは「該当なし」が入ることになります。
5 必要な資金の額とその調達方法について記載している(日本政策金融公庫の融資等の金融支援を利用する場合その旨を記載している)。
本項目は、資金を必要とするような取り組みをしない場合には「該当なし」を記入します。
【要確認】
経営資源(人・物・金・情報)を守るための事前対策への取り組みは、最低でも1つは記載がされていると思いますが、その取り組みを行うにあたって購入が必要となるものはないでしょうか。
少ない金額であっても、例えば地震の揺れに備えて書棚を固定するような場合、固定のための費用が500円程度で済んでしまうような場合であっても、必要な資金として申請書(計画書)には記載しておくことをおすすめします。その場合には、この項目には「✓(チェック)」が入ることになります。
その他
該当する箇所へチェックを行います。
9.事業者名公表の確認
事業継続力強化計画認定制度の開始当初は、事業者名の公開・非公開を選ぶことができるようになっていました。しかし、現在は認定を受けた事業者は公開が前提となっています。ここでは、アンケートの依頼を含め、事業者名公開に関して確認をするに過ぎませんので、特にチェック等を行う必要はありません。
10.事例公表の意向調査
事例として国のホームページ等で公表して良いかどうか、希望するところにチェックを行います。
良く分からない場合には、「不可」にチェックを入れておけば大丈夫です。
11.補助金との関連
事業継続力強化計画の認定を受けた事業者は、補助金の優先採択というメリットを受けることができる制度があります。
事業継続力強化計画の認定が加点対象となっている代表的な補助金には、「ものづくり補助金」があります。ものづくり補助金で加点されるためには、ものづくり補助金の申請時において事業継続力強化計画の認定を受けていなくても、申請済みであればその後認定を受けた認定書を提出することによって加点になるものとされています。
※ 法令に基づく各種取得計画について、申請締切日時点で認定(承認)を受けた計画期間が終了していない場合又は、それぞれ指定された経済産業局・都道府県等に電子申請済み又は申請書を郵送済み(締切日の消印有効)の場合は加点対象となります(記載後、実際に申請書を郵送せず手元に保管されている場合等は、「申請中」とはなりません)。「申請中」の場合、交付決定を受けるためには、認定(承認)後に速やかに認定(承認)通知書の写し及び認定を取得した当該計画の写しの提出が必要です。計画申請を当補助事業への応募時点で行っていなかったことが判明した場合、採択を取り消しますのでご注意ください(経済産業局等から袋とじ状で返送される認定通知書及び認定申請書には、経済産業局等が当該申請の消印日等が分かる受理印が押印されています)。
出所:令和元年度補正・令和二年度補正 ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 公募要領〔一般型(新特別枠含む)・グローバル展開型〕より抜粋
ものづくり補助金の加点狙いで事業継続力強化計画の認定を受ける場合には、この欄に記入をしておきましょう。記入していないからといって補助金申請において不利益を被るようなことはないと考えられるのですが、記入しておいた方が安全です。
12.備考欄(事務局使用欄)
ここは事務局(国)が記入等する箇所になりますので、申請者は何も記入する必要はありません。
変更申請の場合
事業継続力強化計画の認定を受けた事業者が、認定を受けた内容を変更する場合には変更申請を行う必要があります。
ただし、軽微な変更などにおいては申請までは必要ないものとされています。どのようなケースで変更申請が必要になるのかはこちらで確認してください。
変更申請で必要な種類
変更申請を行う際には、認定を受けるための申請書類に加えて、「実施状況報告書」と「変更申請用チェックシート」が必要となります。
出所:事業継続力強化計画策定の手引き(令和3年3月8日版)
変更申請用チェックシートの入手
中小企業庁の事業継続力強化計画サイトより入手することができます。
出所:中小企業庁 事業継続力強化計画
変更申請用チェックシートの内容
基本的には、認定申請用のチェックシートと内容的にほぼ同じとなっています。チェックシートのデータがExcel形式となっている点も同じです。
1か所だけ、変更申請用のチェックシートに項目が追加されています。
出所:認定事業継続力強化計画変更申請用チェックシート
追加されているのは、「Ⅲ事業継続力強化計画に係る実施状況報告書について」という項目です。
変更申請を行う際には、認定を受けた事業継続力強化計画をどの程度運用することができたのかついて自己チェックを行い、それを整理した「実施状況報告書」を提出することが求められています。
変更申請の場合には、通常のチェックシートとは異なる変更申請専用のチェックシートに記入が必要であること、また、チェックシートの内容について、実施状況報告書に関するチェック項目が増えていることに留意してください。
まとめ
事業継続力強化計画申請書をしっかりと作成したのに、チェックシートを適当に記入して提出してしまい、結果的に事業継続力強化計画の認定まで遠回りしてしまうというようなケースも実際にあります。
チェックシートも認定を受けるために重要な書類となっていますので、十分な確認を行うことをおすすめします。
チェックシートはもちろん、事業継続力強化計画申請書を十分に確認しても、国から修正指示等の連絡が入る場合があります。その際には、慌てずに対応してください。
チェックシート以外にも、申請書の記入ポイントを整理していますので、自社で事業継続力強化計画を作成する方は参考にしてください。