事業継続力強化計画の認定でものづくり補助金の採択率がアップ!

事業継続力強化計画

ものづくり補助金の採択に関するデータが令和2年6月30日に公式サイト上で公開され、「加点項目の数と採択率の関係」が明らかにされました。

この資料によりますと、ものづくり補助金の採択率アップには事業継続力強化計画の認定が非常に有効であるということが言えそうです。

ものづくり補助金について

近年、がんばる中小企業・小規模事業者を応援する国の政策として、補助金の公募が盛んに行われています。

代表的なものとして、経済産業省が実施する生産性革命推進事業があります。これは、「ものづくり補助金」「持続化補助金(小規模事業者持続化補助金)」「IT導入補助金」の3つにより構成されています。

これらのうち、「ものづくり補助金」は補助金額が非常に大きいことから、採択を目指している事業者(主に製造業)も多くなっています。

事業継続力強化計画の認定を受けると、ものづくり補助金の加点になるということは知られているのですが、それが実際にどの程度の採択率アップに寄与するのか(審査においてどの程度有利になるのか)というのは公開されていませんでした。

しかし、令和2年6月30日に令和元年度補正予算・令和二年度補正予算「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」(一般型:二次締切)の採択結果が発表された際、公式サイトにて、ものづくり補助金の統計データが公開されました。

このデータは、データポータルという形で公開されており、ものづくり補助金の申請者の属性や過去の成果等を、申請者の傾向と採択率の関係性が分かるように整理されたものとなっています。

ものづくり補助金の加点項目の数と採択率の関係

「加点項目の数」というデータを見ますと、加点項目が多ければ多いほど採択率がアップしているという事実が明らかにされています。つまり、ものづくり補助金においては、加点項目と採択率には正の相関関係があることが見て取れます。

ものづくり補助金における加点項目の数と採択率には正の相関関係がある
出所:加点項目の数、ものづくり補助事業公式ホームページ(データポータル)

加点項目が0個の場合には、採択率は20.7%ですが、加点項目が3個になると採択率は70.2%まで上昇しています。

また、2個~3個の加点項目を準備して申請している事業者が半数を超えており、2個以上の加点項目が準備できれば採択率は2分の1(51.5%)にまで引き上がることが分かります。

このデータを見る限り、ものづくり補助金の申請にあたっては、加点項目をいかに多く準備・獲得できるのかということは、採択を狙ううえで非常に重要であるといえるでしょう。

ものづくり補助金の加点項目

ものづくり補助金にはいくつかの加点項目が設けられています。

令和元年度・令和二年度ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助事業・公募要領によると、加点項目は①成長性加点、②政策加点、③災害等加点、④賃上げ加点等、の4つあります。(加点項目の内容は、公募の度に変更されていますので、申請時には必ず最新情報を入手するようにしてください)

ものづくり補助金で対象となる加点項目について
出所:令和元年度・令和二年度ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助事業・公募要領の概要版、2020年5月22日、ものづくり補助金事務局

①成長性加点

「有効な期間の経営革新計画の承認を取得した(取得予定の)事業者」

経営革新計画は、中小企業が「新事業活動」に取り組み、「経営の相当程度の向上」を図ることを目的に策定する中期的な経営計画書のことです。中小企業等経営強化法に基づく制度で、都道府県ごとに承認審査が行われています。

承認を受けるためには、都道府県によって差はありますが、比較的難易度が高いといえます。

②政策加点

「小規模事業者又は創業・第二創業後間もない事業者(5年以内)」

規模が小さい、創業したばかりといった要件を満たす事業者は、特に何もしなくても加点を得ることができるようになっています。この項目に関しては、該当しない事業者にとっては狙って獲得できるというわけにはいきません。

③災害等加点

2つあります。

1「新型コロナウイルスの影響を乗り越えるために設備投資等に取り組む事業者(特別枠の申請者)」

新型コロナウイルスによって受けた影響やその影響を乗り越える効果が得られると認められる場合には加点されます。

2「有効な期間の事業継続力強化計画の認定を取得した(取得予定の)事業者」

事業継続力強化計画は、自然災害等に対する防災・減災の取り組みを計画書にとりまとめ、国から認定を受ける制度です。令和元年7月16日より認定制度が開始されていますが、その直後のものづくり補助金から加点項目となっています。

④賃上げ加点等

2つあります。

1「事業計画期間において、給与支給総額を年率平均2%以上増加させ、かつ、事業場内最低賃金を地域別最低賃金+60円以上の水準にする計画を有し、従業員に表明している事業者」又は「事業計画期間において、給与支給総額を年率平均3%以上増加させ、かつ、事業場内最低賃金を地域別最低賃金+90円以上の水準にする計画を有し、従業員に表明している事業者」

2「被用者保険の適用拡大の対象となる中小企業・小規模事業者等が制度改革に先立ち任意適用に取り組む場合」

設備の導入に伴って、賃上げを行う場合には加点になります。

※なお、過去には、成長性加点として経営革新計画だけでなく、「経営力向上計画」や「地域未来投資促進法の地域経済牽引事業計画」も加点対象となっていましたが、現時点では除外されています。同様に、従来は加点対象となっていた「先端設備導入計画」や「購入型クラウドファンディング」も現在は除外されています。

公募の都度、加点項目は変更されていますので、常に最新の情報を入手しておくことが重要です。

事業継続力強化計画は加点項目を獲得しやすい

ものづくり補助金の加点項目の中で、要件に該当するだけで加点となる政策加点を除き、最も加点項目として獲得しやすいものは、事業継続力強化計画の認定による「災害等加点」でしょう。

もちろん、事業継続力強化計画の認定を受けるのが簡単だということではありません。事業継続力強化計画は、しっかりと策定を行わなければ修正を指示されることもありますし、策定するためには相応の時間も必要です。

とはいえ、現時点の加点項目として並んでいる経営革新計画と比べれば、ハードルは明らかに低いものと言えます。事業継続力強化計画は、問題がなければ、通常は申請から45日後には認定を受けることができます。経営革新計画に関しては、承認を得るまでに修正を繰り返し要求されることが多く、忍耐も要求され、承認まで長時間を要することも珍しくありません。

小規模事業者であれば、事業継続力強化計画の認定を受けることによって、政策加点と併せて加点項目は2個となり、採択率は51.5%まで引き上げることができます。

今後、ものづくり補助金の申請を行う事業者にとっては、企業規模や業種を問わず、事業継続力強化計画の認定は、加点項目を獲得するという意味で不可欠といえるのではないでしょうか。

事業継続力強化計画の認定状況

中小企業庁によると、事業継続力強化計画の認定事業者(令和2年5月末現在)のうち、「製造業その他」が占める割合が7割となっています。また、従業員規模別では、個人事業主含む小規模事業者が占める割合が6割と高くなっています。

事業継続力強化計画の認定状況
出所:事業継続力強化計画の認定状況等について、令和2年7月2日、中小企業庁

事業継続力強化計画は、認定制度が開始された直後のものづくり補助金から加点項目の対象に含まれていました。製造業かつ小規模事業者の認定数が多いということを踏まえれば、ものづくり補助金の加点を狙って事業継続力強化計画の認定を受けた事業者も多いと言えそうです。

事業継続力強化計画の必要性としては、自然災害等の緊急事態が発生した際であっても、自社の事業を継続することで社会に対する影響を最小限に抑えること、を挙げることができます。その点、ものづくり補助金の加点を狙うために事業継続力強化計画の認定を受けるというのは、目的意識の観点からいかがなものかという考え方もあるでしょう。

しかし、ものづくり補助金を申請するような事業者は、多額の設備投資を行うことからも分かるように、日本経済を支える重要な存在であって、自然災害等の緊急事態が発生した時にはその被害を最小限に抑えながら早期に復旧し、事業を継続することによって、社会に対する影響を最小にとどめることが求められるのもまた事実です。

その意味で、ものづくり補助金の申請にあたって事業継続力強化計画の認定を事前に受けておくというのは、それがたとえ加点狙いであるということであったとしても、社会全体でみると、当該企業の事業継続力を強化するという事実は、有意義であると捉えることもできます。

ものづくり補助金の加点対象になるから事業継続力強化計画の認定を受ける、と言い方はなんだか後ろ向きな感じがしてしまうのですが、ものづくり補助金をきっかけに事業継続力強化計画の制度を知り、認定を受けることを通じて、「ものづくり補助金の加点項目も獲得できたし、自社の事業継続力を強化することも実現できた」、という捉え方をするならば、決して悪いことではないのだと言えるでしょう。

最近も大雨によって、緊急事態といえる大規模な災害が発生しています。

きっかけはどうであれ、多くの事業者が事業継続力強化計画を策定し、認定を受ける流れがさらに広がっていくことが重要です。

事業継続力強化計画は自社のみで策定することは十分に可能です。

事業継続力強化計画の策定については、事業継続力強化計画の策定方法は3つ!特徴とおすすめの方法を紹介に整理してあります。

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