事業継続力強化計画の策定に必要な時間は?2日は欲しい理由

事業継続力強化計画

事業継続力強化計画に関心を持つ事業者が増えてきています。とはいえ、「初めて策定するので、完成まで時間が掛かるのではないか」と敷居の高さを感じている方も多いようです。

実際には、策定そのものは初めてであっても、自力で8時間程度あれば完成させることができます。認定を得るために策定するだけではなく、事業継続に向けた「能力強化」と「実効性を高める」という観点を重視するならば、見直しの時間を設けることがポイントになります。

これを考慮しても、2日間あれば事業継続力強化計画は策定し認定を受けることが可能です。

事業継続力強化計画は単独作成が半数を占めている

そもそも、「事業継続力強化計画は、自社だけ策定することは困難である」と考えている事業者も多いようです。

確かに、計画の名称からして難しい書類を作る印象を持つこともあるでしょうし、BCP(事業継続計画)をご存じの方はBCPのイメージを引きずるかたちで漠然とハードルが高いというイメージを感じているようです。

しかし、中小企業庁によると、事業継続力強化計画は単独作成がおよそ5割(3,000/5,920件)を占めていることが分かります。

※「事業継続力強化の実施における協力者が無し」であった件数が3,000件ということであり、実際には計画策定の支援を受けたが単に記載しなかったというケースは除かれてしまっている可能性があることに注意が必要です

事業継続力強化計画は単独で策定している事業者が5割程度存在する
(出所:事業継続力強化計画の認定状況について、令和2年7月2日、中小企業庁)

事業継続力強化計画の認定制度では、「事業継続力強化計画策定の手引き」というマニュアルが準備されています。この資料は、非常に充実しており、かつ、その都度内容が更新されることで新鮮さを保つ工夫がされ、初めての挑戦であっても事業者が単独で事業継続力強化計画をステップで策定することができるように工夫されています。

防災や減災などに備えた計画を始めて作る事業者であっても、事業継続力強化計画策定の手引きを参照することで、自社単独での策定は十分に可能であり、自助を基本とする事業継続の観点からも、自力策定は望まれるところであると言えます。

また、認定企業のうち、6割が個人事業主を含む小規模事業者(従業員が20名以下)であることから、策定には特別に専門的な知識は必要ないということが分かります。

事業継続力強化計画の認定企業のうち6割は個人事業主を含む小規模事業者です
(出所:事業継続力強化計画の認定状況について、令和2年7月2日、中小企業庁)

自社で策定する時に役立つ資料として、「事業継続力強化計画ワークショップテキスト」があります。また、認定を受けるための申請後、修正を指示されることがありますが「事業継続力強化計画申請後の修正指示への対応」は自社でも行うことが可能です。

事業継続力強化計画の策定に必要な時間

事業継続力強化計画の策定にはいくつの方法がありますが、自社単独でマニュアル等の資料を見ながら策定する場合には、8時間程度の時間が目安になると考えられます。

根を詰めれば丸1日で完成させることができる程度の時間です。

※事業継続力強化計画の策定方法には大きく3つの方法があります。気になる方はこちら「事業継続力強化計画の策定方法は3つ!特徴とおすすめの方法を紹介

各地で開催されている事業継続力強化計画の策定ワークショップに参加した場合、3時間程度で素案を完成させることができるようになっています。

自社だけで行う場合には、資料の読み込みなどを考慮して2倍の6時間程度を見積もるのが無難で、かつ、申請書はMicrosoftのWordでの作成が必要となるため、入力に2時間掛かるとして合わせて8時間です。

ただし、中小企業防災・減災投資促進税制の適用を受ける「設備導入」を希望する場合には、税理士などへの確認を行うことが求められますので、導入設備の見積もりや制度適用の有無などの確認時間が加わります。

8時間という時間は、「そんなに早く完成できるの?」という感覚の人もいるでしょうし、「結構時間が掛かるな…」という人もいるでしょう。

もちろん、もっと短時間で終わらすこともできますし、もっと時間を掛けて作りこむこともできます。この点、「上手い頃合い」を狙うことも重要だといえます。

策定時間は早過ぎず遅すぎず

事業継続力強化計画は、計画策定を行うプロセスにおいて「事業継続力」の強化を実現することができるようになっています。つまり、自然災害等に関する情報を収集し、危険性の高い災害等を特定し、事業継続に不可欠な経営資源を見極め、事前の対策を検討する、といった流れを「考えながら進めていく」ことで、事業継続力を強化することができるのです。

ならば、じっくりと考えれば考えるほど事業継続力を高めることができるようにも思えますが、必ずしもそうとは言えません。

時間を掛け過ぎると

良かれと思って策定に時間を掛け過ぎた結果、事業継続力強化計画の完成そのものに固執してしまうということが起こり得ます。

計画(計画書)に対してこだわりを持ちすぎてしまい、計画の内容(中身)ではなく、文章表現の美しさや体裁の綺麗さなど、本質とは異なるものに傾倒してしまった結果、実効性に乏しい計画になってしまうということです。

また、考える時間が長いとあれもこれもという思考に陥り、過剰ともいえる設備投資や現実離れした事前対策など、背伸びした内容になる可能性があります。さらに、時間を掛けるほどに途中で放置してしまう可能性が高くなる、という危険性も指摘することができます。

そもそも、事業継続力というものは、事業継続力強化計画を策定し、認定を受けたからといってそれで万全ということではありません。

真の事業継続力というのは、実際に緊急事態が発生した時に、現場の従業員が迷いなく自分の役割を全うすべく行動に起こすことができる状態とも言えます。

これを実現するためには、事業継続力強化計画の策定は入口ともいえるものであって、実際には計画策定後の従業員に対する訓練も重要ですし、実際に運用しながらより良い方法が見つかれば、定期的な見直しも必要になります。

しかしながら、実際に訓練を行い、その結果を踏まえて見直しを実施し、それを反映させた計画書を策定し、認定を受ける・・・というところまで要求してしまえば、事業継続力強化計画の認定ハードルは非常に高いものとなってしまいます。

ですから、事業継続力強化計画の認定制度では、まずは計画を策定し認定を受けたうえでそれを実際に運用し、訓練などを行った結果、必要に応じて見直しを行う、といった流れになっています。

最初から完璧なものを目指すのではなく、まずは身の丈に合った計画を策定し、認定を受けるという考え方で問題ないのです。あまり深く考えすぎず、いまの自社にできることを前提にした事業継続力強化こそ、最も実効性の高いものであるからです。

訓練や見直しを通じて、より良いものへと昇華させていくプロセスも、更なる事業継続力を強化するために不可欠なものといえますし、究極的には計画そのものが不要となる状態(全従業員の頭の中に情報が完全にインプットされている状態)が理想といえるでしょう。

申請前に確認(見直し)は必須

事業継続力強化計画の策定は1日で終わらすことができますが、認定の申請前に、最低でも一度は確認の時間を設けることをおすすめします。認定を受けるために申請内容が正しいかどうかの確認を行うということよりも、実効性を担保するために内容の再確認を行うというイメージです。

1日で策定した場合には、集中して作業を行っていることもあって、一貫した内容となっていることが多いようです。一方で、前のめりになって策定してしまうことがあり、実効性に乏しい内容になってしまうケースが見受けられます。

事業継続力強化計画は、認定を受けることも大切ですが、それ以上に事業継続力を高め、緊急事態に役立てられるように備えることが重要です。

一度策定した計画を確認する作業は、面白みがなく、ある意味で苦痛を伴う作業であるというのも事実です。しかし、事業継続力強化計画は、全従業員の手に渡る可能性もありますし、また、事業継続力強化計画にミスがあれば、最悪の場合には緊急時に従業員が誤った行動をとることを促すことに繋がり、命の危険に晒してしまうということもあり得ないとはいえません

役立つ計画であるということは、使い方を誤ってしまえばその逆に作用してしまうことも指摘できるのです。

あらためて計画を眺めてみて、違和感があれば修正を行うことを検討することも、事業継続力を強化するプロセスの一環だと言えます。

まとめ

事業継続力強化計画は、「事業継続力強化計画策定の手引き」を参考にすることで、自社だけで策定することは可能です。また、策定に必要な時間は8時間程度と考えることができ、集中すれば1日で策定を完了することができます。

しかし、集中して策定した計画は、客観性を失い実効性が乏しいということもありますので、1週間程度時間を空けてからあらためて計画を読み直し、必要があれば修正を加えることが好ましいです。

確認を含めると、2日間で事業継続力強化計画の策定を完了することができます。緊急事態への備えがたったの2日間でできる、ということであれば、やらない手はないと言えるのですが、いかがでしょうか。

せっかくですから、事業継続力強化計画のメリットを確認してみませんか。
事業継続力強化計画のメリット!4つの本質とインセンティブ6つ

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