ものづくり・商業・サービス高度連携促進補助金の採択率を高めるには事業継続力強化計画の認定が必須
「令和3年度ものづくり・商業・サービス高度連携促進補助金」の公募が開始(公募期間は2021年5月12日(水)14時~2021年7月7日(水)17時)されています。
これは、一般的にものづくり補助金と呼ばれている「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」とは別の補助金です(本稿では、ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金のことをものづくり補助金と記述します)。
令和3年度ものづくり・商業・サービス高度連携促進補助金においては、事業継続力強化計画の認定が加点対象となることが公募要領に記載されています。
これは、ものづくり補助金においても同様ですが、1点だけ両補助金において事業継続力強化計画の加点に対する取り扱いが異なる部分があります。
それは、認定済みであるかどうかによって加点されるかどうかが変わる、ということです。
7次締切分(令和3年5月からの公募)以降のものづくり補助金より、事業継続力強化計画は認定を受けていることが加点の条件であり、申請中の場合には加点にならないように変更されました。
しかし、令和3年度5月から公募が開始された「令和3年度ものづくり・商業・サービス高度連携促進補助金」は、事業継続力強化計画の申請中でも加点対象となります。
ものづくり補助金においては、いかに加点を積み上げるのかによって採択率に大きさが出ることがデータとして公表されています(詳細は後述します)。
令和3年度ものづくり・商業・サービス高度連携促進補助金において有利に採択されるためには、事業継続力強化計画による加点(災害等加点)を積み上げておくことは必須と言えるでしょう。
当サイトでは、2日間という短期間で、自分で事業継続力強化計画を作成し申請する方法を紹介しています。令和3年度ものづくり・商業・サービス高度連携促進補助金の申請を検討している方は事業継続力強化計画の認定申請を行うことをおすすめします。
令和3年度ものづくり・商業・サービス高度連携促進補助金について
ものづくり・商業・サービス高度連携促進補助金と、ものづくり補助金にはいくつかの違いが見られますが、最大の違いは「連携の有無」です。
ものづくり・商業・サービス高度連携促進補助金は、名称にもあるように、複数の中小企業・小規模事業者等が連携して行う取り組みが前提となっています。
本事業は、中小企業・小規模事業者等が複数(補助金を受給できる連携体は、企業間連携型では2者~5者、サプライチェーン効率化型では2者~10者)で連携して取り組む、設備投資等を支援するものですので、1者のみの応募申請はできません。
出所:令和3年度ものづくり・商業・サービス高度連携促進補助金公募要領(1.0版・令和3年5月)
少なくても2者(2社)以上で連携しながら取り組むことが必要になってきますので、自社単独での取り組みを前提にしているものづくり補助金とはこの点で大きく異なるといえるでしょう。
その他、審査項目や加点項目においても両補助金には違いが見られます。
また、ものづくり補助金は通年で公募を行っており、複数回の申請チャンスがありますが、ものづくり・商業・サービス高度連携促進補助金は基本的には公募は1回しか行われず、かつ、短期間となっていることに注意が必要です。
令和3年度ものづくり・商業・サービス高度連携促進補助金の公募期間は、2021年5月12日(水)14時 ~ 2021年7月7日(水)17時となっており、追加公募は行われない可能性が高いといえます。
補助金における加点の重要性
ものづくり補助金の公式ホームページ上には、データポータルというかたちで採択に関するさまざまな情報が公開されています。
公開されている資料のうち「加点項目の数」という資料を確認すると、加点項目が大きいほど採択率が高くなることが分かります。
加点項目の数
出所:ものづくり補助金総合サイト・データポータル、「加点項目の数」
加点項目が0個の場合、採択率は15.6%です。加点項目が1個の場合には採択率は21.0%と5.4%の違いしかありませんが、2個の場合になると採択率は35.0%、3個では48.4%まで上昇します。
もちろん、加点項目だけで採択の可否がされるわけではなく、取り組み内容が優れたものであってこその採択であるというのは事実ですが、加点項目が多いほどに採択されやすいというのは疑いようのない事実なのです。
これはあくでもものづくり補助金のデータであって、ものづくり・商業・サービス高度連携促進補助金とは異なる補助金の傾向に過ぎませんが、両補助金が似た性格であるものを踏まえれば、ものづくり・商業・サービス高度連携促進補助金においても加点は採択率のアップに大きく貢献すると考えることができるはずです。
ものづくり・商業・サービス高度連携促進補助金の加点項目
令和3年度ものづくり・商業・サービス高度連携促進補助金における加点項目には、次の4つが挙げられています。
出所:令和3年度ものづくり・商業・サービス高度連携促進補助金公募要領(1.0版・令和3年5月)
①成長性加点:有効な期間の経営革新計画の承認を応募申請時に受けているか。
②政策加点:
②-1:公募期間最終日時点で、地域未来牽引企業に選定されており、かつ地域未来引企業としての「目標」を経済産業省に提出しているか。
②-2:自社(又はグループ会社)として策定した「パートナーシップ構築宣言」の写しの提出があり、「パートナーシップ構築宣言」ポータルサイトにおいて宣言を公表している企業であるか。
②-3:より多くの事業者が参画する連携体を構成してプロジェクトに取り組む事業であるか。
③災害等加点:有効な期間の事業継続力強化計画の認定を応募申請時に受けているか。
④賃上げ加点等:
④-1:「事業計画期間において、給与支給総額を年率平均2%以上増加させ、かつ、事業 場内最低賃金を地域別最低賃金+60円以上の水準にする計画を有し、従業員に表明している事業者」、又は、「事業計画期間において、給与支給総額を年率平均3%以上増加させ、かつ、事業場内最低賃金を地域別最低賃金+90円以上の水準 にする計画を有し、従業員に表明している事業者」
④-2:「被用者保険の適用拡大の対象となる中小企業・小規模事業者等が制度改革に先立 ち任意適用に取り組む場合」
※ 加点項目については、エビデンスとなる添付書類を提出し、各要件に合致した場合にのみ加点されます。出所:令和3年度ものづくり・商業・サービス高度連携促進補助金公募要領(1.0版・令和3年5月)
大きく4つの加点項目がありますが、災害等加点として「事業継続力強化計画の認定」が挙げられています。
事業継続力強化計画の認定を受けるためには、事業継続力強化計画(申請書)を策定・作成し、国に申請する必要があります。申請から認定までの標準処理期間は45日間とされており、今から申請しても令和3年度ものづくり・商業・サービス高度連携促進補助金の申請時点では認定を受けることができない(認定が間に合わない)恐れがあります。
この点、公募要領では、
※ 承認申請書中の共同申請者である場合も加点対象となります。
とされています。
つまり、令和3年度ものづくり・商業・サービス高度連携促進補助金の申請時点で、事業継続力強化計画の認定を受けていなかったとしても、事業継続力強化計画が申請済みであれば加点対象になる考えることができます。
ただし、仮に令和3年度ものづくり・商業・サービス高度連携促進補助金に採択されても、事業継続力強化計画の認定を受けられないようなことがあれば採択が取り消される可能性がありますので、事業継続力強化計画はしっかりと作り込む必要があります。
出所:令和3年度ものづくり・商業・サービス高度連携促進補助金公募要領(1.0版・令和3年5月)
また、公募要領には、
法令に基づく計画の認定・承認取得については、連携する中小企業・小規模事業者等のうち、少なく とも1事業者が該当すれば加点となります。
とされていますので、連携する事業者全部が事業継続力強化計画の認定を受ける必要はなく、少なくても1事業者が認定を受ければ(申請済みであれば)加点対象となる、と考えることができます。
ものづくり補助金における事業継続力強化計画の加点の扱い
ものづくり補助金においては、7次締切分より「申請中」は加点対象とならないことに変更されました。
出所:ものづくり補助金総合サイト
ものづくり・商業・サービス高度連携促進補助金が令和4年度も公募される場合に、事業継続力強化計画が加点対象に含まれていたならば、申請中ではなく認定済みのみが加点対象となる可能性が高いでしょう。
ただし、ものづくり補助金にしても、ものづくり・商業・サービス高度連携促進補助金にしても、加点項目(加点対象)の内容は毎年変更されています。
今後も事業継続力強化計画が加点項目であり続けるかどうかは分かりませんが、次年度以降にものづくり・商業・サービス高度連携促進補助金の申請を予定している場合には、今のうちに事業継続力強化計画の認定を受けておくと良さそうです。
事業継続力強化計画は、自分で作成し申請することが可能です。当サイトでは、2日間あれば申請まで行うことができるやり方について解説していますので、参考にしてください。