自然災害発生時に事業継続力強化計画の効果を55%が実感!

事業継続力強化計画

事業継続力強化計画の認定制度は、令和元年7月よりスタートしており、令和3年3月末時点では累計で25,627件の事業者が認定を受けています。

事業継続力強化計画の認定制度が開始されてからも、全国各地でさまざまな自然災害が発生しています。

令和2年7月豪雨

中でも「令和2年7月豪雨」は、7月3日から7月31日にかけて、熊本県を中心に九州や中部地方など日本各地で発生した集中豪雨であり、記憶に新しいところです。被災地では大きな被害を受け、激甚災害として指定されています。

令和2年7月豪雨の被災状況
出所:令和2年7月豪雨による土砂災害発生状況(2020年12月22日時点)、国土交通省

事業継続力強化計画の有効性

令和2年7月豪雨の際に、事業継続力強化計画の認定を受けていた事業者に対して行った調査結果が、中小企業白書(2021年版)で紹介されています。

この調査結果によれば、事業継続力強化計画の効果を実感できたと回答した事業者の割合は55%となっています。自然災害の発生時において半数以上の事業者が事業継続力強化計画の有効性を実感していることになります。

図表「令和2年7月豪雨における計画認定事業者の事業継続力強化計画の効果の有無」
図表:令和2年7月豪雨における計画認定事業者の事業継続力強化計画の効果の有無(中小企業庁)
出所:中小企業白書2021、中小企業庁

具体的にどのような効果があったのかという点については明らかにされていません。

とはいえ、事業継続力強化計画の効果に関する調査結果が公開されるのは今回が初めてであると考えられるため、貴重な情報であると言えます。

BCP(事業継続計画)の効果

事業継続力強化計画と似たものにBCP(事業継続計画)があります。

ならば、事業継続力強化計画の策定による効果は、BCPの策定によって得られる効果と似たものであると仮説が成り立ちます。

BCPを策定したことによる効果として最も多く挙げられているのは、「従業員のリスクに対する意識が向上した(56.7%)」であり、「事業の優先順位が明確になった(39.2%)」、業務の定型化・マニュアル化が進んだ(32.9%)」と続いています。

「実際の事業トラブルに遭遇し適切に対応できた」は11.3%に留まっていますが、調査対象の母数がトラブルに遭遇した企業ではないため、トラブル遭遇企業に絞った場合にはもう少し数値は高くなることが想定されます。

図表:事業継続計画(BCP)を策定したことによる効果(中小企業)
事業継続計画(BCP)を策定したことによる効果(中小企業)
出所:中小企業白書2021、中小企業庁

事業継続力強化計画は、災害発生時に適切に対応できたという効果もあったと推察されますが、それも、従業員のリスクに対する意識の向上などがあったからこそのことと考えることもできます。

今後の想定リスク

中小企業白書2021では、中小企業が今後、事業の継続が困難になると想定しているリスクを挙げています。

2019年と2020年では「感染症」の数値が大きく変わっていることに注目することができます。2019年において感染症をリスクとして捉えている企業は23.2%に過ぎませんでしたが、2020年には69.4%へおよそ3倍へと急増しています。

2020年は、新型コロナウイルス感染症の影響を社会が大きく受けたわけですが、中小企業にとっても経営面での影響は大きかったことが分かります。

図表:事業の継続が困難になると想定しているリスク(中小企業)
事業の継続が困難になると想定しているリスク(中小企業)
出所:中小企業白書2021、中小企業庁

2020年には新型コロナウイルスの影響によって倒産する企業も見られましたが、それをリスクとして捉える企業も増加(2019年の31.6%から2020年は41.3へ、およそ10%のアップ)していることが分かります。

今後は、自然災害への対策は当然ですが、感染症への事前対策も大きな経営課題になってくることは明らかでしょう。

リスク対策としての事業継続力強化計画

事業継続力強化計画の認定制度がスタートする以前は、事業継続計画(BCP)がリスク対策に有効だとして策定が推奨されていました。

しかし、中小企業においてBCPの策定率はそれほど高まっているとはいえません。2019年から2020年の3年間の推移を見ても、大きな変化を捉えることはできません。

図表:事業継続計画(BCP)の策定状況の推移(中小企業)
事業継続計画(BCP)の策定状況の推移(中小企業)
出所:中小企業白書2021、中小企業庁

なぜ中小企業においてBCPの策定が進まないのでしょうか。

その理由としても最も多いものは、「策定に必要なスキル・ノウハウがない」が41.7%となっており、策定していない企業のおよそ半数が回答しているのです。

図表:事業継続計画(BCP)を策定しない理由(中小企業)
事業継続計画(BCP)を策定しない理由(中小企業)
出所:中小企業白書2021、中小企業庁

事業継続力強化計画はBCP(事業継続計画)の簡易版と言われることも多いのですが、BCPで策定する内容を最低限に絞り込み、かつ、中小企業でも策定しやすいようにフォーマット化されたものとなっています。

計画書(申請書)自体はA4用紙で4~5枚程度でまとめることができ、初めて作成・策定する場合であっても作りやすいように書き方の記入例なども充実した「事業継続力強化計画策定の手引き」も整備されています。

地震や水害などの自然災害等だけではなく、感染症等についても検討・対策を行うことができるように令和2年10月より変更されていますので、今まで以上に経営リスクに対する有効性が高められたものとなっています。

当サイトでは自社で事業継続力強化計画を作成し認定を受ける方を対象に、書き方や申請方法などを整理してまとめています。2日間あれば申請まで進めることができますので、この機会に挑戦してみたらいかがでしょうか。

関連記事一覧

カテゴリー

アーカイブ