事業継続力強化計画を無料のワークショップテキストを活用して策定しよう

事業継続力強化計画

事業継続力強化計画を自社で策定する場合、マニュアル(バイブル)に相当するものとして「事業継続力強化計画策定の手引き」があります。

加えて、事業継続力強化計画の概要を知り、策定のナビゲート役として活用できるものに「単独型計画策定のためのワークショップテキスト」があります。このテキストの存在を知らない事業者が多いようですが、事業継続力強化計画策定の手引きを補完するテキストとして非常に役立ちますので、入手方法や活用方法について紹介します。

ワークショップテキストは無料で手に入れることができますので、使わない手はありません。

事業継続力強化計画の策定方法について

事業継続力強化計画の策定方法には、大きく3つの方法があります。

それは、①各地で開催されているワークショップやセミナーに参加する方法、②専門家へ依頼する方法、③自社内(自力)で策定する方法です。

いずれもメリット・デメリットは存在します。

事業継続力強化計画と似たものにBCP(事業継続計画)があります。中小企業・小規模事業者においては、BCPの策定率がそれほど高くないという現状があるのですが、その理由にはどのようなものがあるでしょうか。

中小企業白書によると、BCPを策定していない理由として「人手不足」を挙げる事業者が最も多く、次いで「複雑で、取り組むハードルが高い」となっています。

BCPを策定していない理由(中小企業白書2019)
出所:中小企業白書2019、中小企業庁

この結果を見る限り、BCPを策定するのは、非常に難易度が高いという印象を受けるのは仕方ありません。

しかし、意外にも、BCPを策定した中小企業・小規模事業者は、自力で策定しているのです。

自社で事業継続力強化計画は策定できる

中小企業白書によると、BCPを策定した中小企業・小規模事業者が参考にしたものとして、「中小企業庁:BCP策定運用指針」が最も多くなっています。

BCPを策定する際に参考としたもの(中小企業白書2019)
出所:中小企業白書2019、中小企業庁

BCP策定運用指針とは、中小企業庁が提供する、いわゆるBCP策定のマニュアルです。これは、事業継続力強化計画でいうところの、事業継続力強化計画策定の手引きと同じツールなのです。

そもそも、BCPよりも策定しやすいプロセスによって事業継続力の強化を実現したものが事業継続力強化計画ですから、BCPに比べ策定はスムーズに行うことができるようになっています。

マニュアルを活用しながら自社でBCPを策定した事業者も多いわけですから、事業継続力強化計画も、自社だけで策定することは十分可能だと言えます。

事業継続力強化計画策定の手引き

事業継続力強化計画のバイブルとも言えるものとして、「事業継続力強化計画策定の手引き」があります。これは、非常にボリュームのある資料となっていますが、事業継続力強化計画の策定方法はもちろん、認定制度に関する手続きや申請方法なども丁寧に記載されているため、事業継続力強化計画の策定および申請時には必ず参照が必要となる資料です。

事業継続力強化計画策定の手引きは、頻繁に更新・変更されることで、常に最新の情報が提供されるようになっています。

策定開始時には、その時点で最新版の「事業継続力強化計画策定の手引き」を入手するとともに、策定が終了して申請を行う際には、申請前にも最新版に更新されていないか確認することを強くおすすめします。

併せて、申請書やチェックシートも定期的に変更されていますので、確認するようにしてください。

申請方法や申請時の送付書類が変更されることがありますので、申請時に適用されている方法に従わず行ってしまうと、記載内容の不備などにより、修正や再申請を指示されてしまう可能性があります。

事業継続力強化計画策定の手引きは、非常に厚みのある資料なのですが、自社だけで策定する場合には原則として隅から隅まで読み込むようにします。

そして、策定の段階では、ワークショップテキストを併用すると良いでしょう。

事業継続力強化計画の策定に役立つ「ワークショップテキスト」

事業継続力強化計画は、令和元年7月16日の中小企業強靭化法の施行から認定制度がスタートしています。

制度開始にあたって、全国各地で事業継続力強化計画の策定を支援する「ワークショップ」が開催されました。ワークショップは、事業継続力強化計画の概要説明に加え、実際に自社の事業継続力強化計画の素案を策定するというもので、4時間にわたり開催されています。

事業継続力強化計画ワークショップチラシ
事業継続力強化計画ハンズオン支援チラシ

ワークショップは各都道府県で1回程度しか実施されておらず、参加タイミングを逃してしまった事業者も多いかもしれません。

実は、この時に配布・活用されたワークショップのテキスト(単独型計画策定のためのワークショップテキストおよび連携型計画策定のためのハンズオンテキスト)が無料で入手できることはご存じでしょうか。

なんてことはありません。

中小企業庁の事業継続力強化計画のページから誰でも無料でダウンロードできるようになっています。

 

事業継続力強化計画の単独型計画策定のためのワークショップテキスト
中小企業庁ホームページに資料が置かれています。
中小企業庁:事業継続力強化計画

 

この、単独型計画策定のためのワークショップテキストは、事業継続力強化計画策定の手引きを補完するツールとして活用することができます。また、項目によっては、策定の手引き以上に詳細な情報が記載されている個所も多くあります

背景などが理解できる

事業継続力強化計画策定の手引きは、策定方法や申請方法が中心的な内容となっています。

一方、ワークショップテキストでは、事業継続力強化の背景や目的について、さまざまなデータにより詳細に解説がされています。ワークショップテキストは参考資料を含め49ページありますが、そのうちの3分の1以上(18ページ分)を背景や目的が占めています。

事業継続力の強化は自助で行われるもので、経営者や従業員が、自然災害等の発生が事業継続に与える影響をいかに自分事として捉えられるのか、ということが重要なポイントです。

ワークショップテキストは事業継続力の強化に向けた意識の醸成という点でも有益な情報が掲載されているものです。事業継続力強化計画の策定の前に一読して、理解を深めておくとその後の策定がスムーズに進むようになります。

ナビゲート

ワークショップテキストは、一定の項目ごとに「基礎知識編」→「演習」というようにまとめられています。

実際のワークショップでは、テキストに従って、「基礎知識編」では講師の解説が行われ、その後に演習(各自で考える)というように、「解説」→「演習」が繰り返されて進んでいきました。

策定の流れ(プロセス)は、策定の手引きでもワークショップテキストでも変わりません。しかし、策定の手引きを参考にして策定する場合は、計画書(申請書)に沿ってアウトプットを流れ作業のように進めていくようなイメージで、ワークショップテキストを併用する場合には、インプットとアウトプットを交互に行いながら進んでいくイメージです。

事業継続力を強化するためには、各プロセスを十分に理解しながら自社の内容を検討し、それを整理していくことが求められます。

策定の手引きをベースにしながらも、ワークショップテキストをナビゲーター役に見立ててじっくりと進んでいく方法も良いのではないでしょうか。

おすすめの策定方法:まずは手書きで

事業継続力強化計画の計画書(申請書)はデフォルトでA4(Word形式)となっており、申請時にもA4サイズで印刷したまま行うことになります。

ワークショップにおいては、申請書がA3サイズに拡大印刷して配布され、そこに自社の内容を手書きするかたちで進んでいきました。もちろん、自社で行う場合にはパソコンを用いて、申請書にそのまま入力していく方法もありますが、十分な検討を行うためにも、まずは「手で書く」という方法がおすすめです。

アウトプットは、さまざまな意見や考えを出しながら、それを総合的に勘案し、内容や取り組みとしてまとめる作業が重要です。例えば、初動対応をやっつけで考えてしまえば、最悪の場合には従業員の危険性を高める行為にもなってしまう可能性があることから、避けなければなりません。

紙に書き出しながら考えを進めていくと、新たな取り組みやヒントの着想につながることも多くあります。メモレベルのものであっても、非常に有用なアイデアとなることも多く、書いたメモや内容は残しておくと、今後、事業継続力強化計画を昇華させるための情報として活用することもできるようになります。

自社で事業継続力強化計画を策定する場合には、まずは紙に書きながら進めていき、素案の完成を目指していく。そのうえで、さらに精査を加えて、完成へと進めていくことになります。

事業継続力強化計画のワークショップテキスト活用上の注意点

事業継続力強化計画策定の手引きは定期的に更新されていますが、ワークショップテキストは更新されていません。

そのため、ワークショップテキストの内容が古いままになっているものがあります。例えば、申請先や申請方法は既に古くなっていますし、また、ワークショップテキストで触れられている策定の手引きの対応ページがずれていることがあります。

策定の手引きとワークショップテキストで内容に齟齬がある場合には、最新版の策定の手引きに記載された情報が正しいものとして取り扱うのが適切です。

また、実際のワークショップは、4時間で行われましたが、自社で行う場合には当然ながら時間の制限はありません。しかし、特定の項目でハマってしまい(考えに行き詰ってしまい)そこだけでずっと止まってしまうと、策定自体が進んでいきません。

事業継続力強化計画は、決められた策定プロセスの順に検討を進めていくようになっていますが、すべての項目を完璧にしなければ先に進めないというものでもありません。先に進むことで、既に検討した内容のより良い取り組み内容が思い浮かぶこともあります。その場合には戻って再検討し、修正するというプロセスも事業継続力の強化にあたっては重要であると言えます。

深みにはまってしまったら、割り切って先に進んでみる、と言うことがあっても大きな問題ではありません。急いで作ることよりも、実際に機能する実効性ある内容を考えることの方がはるかに大切です。

自社だけで策定する場合には、完璧を求め過ぎないように、適度に進捗管理も行うようにしていくことがポイントです。

まとめ

事業継続力強化計画の策定セミナーやワークショップは、全国各地で開催されていますが、中には有料のものもあります。

無料で入手することできるワークショップテキストは、価値が低いような感覚に陥ることがあるかもしれませんが、そんなことはありません。非常に有益な情報が満載ですので、単独型計画策定のためのワークショップテキストおよび連携型計画策定のためのハンズオンテキストを策定の際には有効活用してほしいと思います。

なお、策定までは考えていない事業者であっても、事業継続力強化(計画)の必要性や理解を深めるためにもワークショップテキストを一読するのはおすすめです。

事業継続力強化の必要性はこちらでも整理してあります。

なぜ事業継続力強化計画が必要なのか?

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