事業継続力強化計画の認定期間は何年?実施期間は3年以内となります

事業継続力強化計画

事業継続力強化計画は、計画策定後に国に対して申請を行うことで、国から認定を受けることができる認定制度となっています。

ところで、事業継続力強化計画の認定期間はどのくらいなのでしょうか

事業継続力強化計画の認定制度においては、認定期間という考え方(言い方も含めて)はされていませんが、計画の実施期間は3年以内と明確に定めがあります。

ですから、敢えて認定期間は何年?と問われれば、3年以内の任意の期間ということになります。

なぜ実施期間を決める必要があるのか

事業継続力強化計画は、策定を行う際の検討プロセスを踏むことで、一定の事業継続に対する能力強化を実現することができるようになっています。

とはいえ、緊急事態が発生した時に、事業継続力強化計画で策定した内容に従い、実際に行動に起こすことができるようになるためには、従業員への教育や訓練が必要になります。また、定期的かつ継続的な見直しを行い、必要に応じて計画内容を更新(変更)しながら、より最適化された取り組みへと昇華させていくことが求められます。

このような、従業員への教育や訓練、定期的な見直しや変更、は「運用・管理(マネジメント)」と呼ばれ、実効性を高めるうえで欠かすことのできないものとされています。

事業継続力強化計画の認定制度では、実際に運用をしたかどうかという行動面(実際の取り組み)までは認定基準には含まれておらず、事業者の自主性に任せられています
事業継続力強化計画の認定基準に関する詳細は「事業継続力強化計画の認定基準は?審査や難易度・修正の方法」へ。

事業継続力強化計画の認定を受けることで満足してしまい、運用面・管理面までなかなか踏み込めないという事業者の存在を想定して、実施期間が定められているとも言えます。3年以内の計画とすることで、それ以降はあらためて計画策定を行うという動機付けにもなる可能性があるからです。

念のためですが、実施期間が3年以内であるから、3年超から事業継続力強化に取り組まなくて良い、ということではありませんので注意が必要です。

現代のように経営環境が急激に変化する時代にあっては、3年というのは一つの区切りということができ、もっと言えば、本来であれば3年でも長すぎるというのが正直なところではないでしょうか。

そもそもなぜ見直しが必要になるのでしょうか。

それは、大きく2つの要因が考えられます。

外部環境(ビジネス環境)の変化と内部環境(自社の経営資源)の変化です。

事業継続力強化計画の見直しが必要な理由

外部環境と内部環境の変化とは具体的にどのようなことを言うのでしょうか。

外部環境の変化

外部環境とは、自社ではコントロールできないようなものやこと、を意味します。これらが変化することで、自社がその影響を受けざるを得なくなり、結果的に事業継続への取り組み内容の変更・更新が必要となることがあります。

具体的には、取引先(仕入先や販売先)に大きな変化があった場合や、法規制などの変更、インフラの変更などが該当します。

販売先が倉庫を移転することで、自社で製造していた製品の納品場所が変更になったとします。この場合、納品のための配送ルートや仕組みが変更され、自社の納品体制も変更になる可能性が高いでしょう。結果的に、事業を継続するための経営資源などにも影響を与えることから、見直しが必要となることが考えられます。

法規制が変更されることで、製造業においては、製品自体の改良が必要になることがあります。あるいは、小売店であれば、消費税などの変更に伴って、新たなレジスターを導入するなど販売の仕組みが変更になることがあります。このような変更は、事業の継続に必要な経営資源などを変化させることがありますので、見直しが必要になることがあります。

他にも、2020年の新型コロナウイルス感染症では、多くの企業で経営手法や事業内容そのものを大きく変えざるを得ないという事態を招いています。こういった状況下においては、それ以前に策定された事業継続力強化計画の内容は現状に適さず、陳腐化している可能性が高いため、見直しが必要になるでしょう。

このように、自社が積極的に何かを行ったわけではないが、外部の変化による影響を受けて、結果的に自社において見直しが必要になることがあります。

内部環境の変化

自社の経営資源(人・物・金・情報など)が変化することによって、見直しが必要になるケースです。

具体的には、従業員の入退社、組織体制の変更、機械設備の変更、新規事業の開始、などがあります。

従業員の入れ替えがあった場合、自社内にある「従業員連絡先リスト」は既に古くなっています。緊急事態にしっかりと連絡を確保できるよう、変更・更新が必要になります。

機械設備の取り替えは、旧型から新型へと変更するような場合には機械設備そのものが変わりますので、自然災害等の発生に備えた事前対策方法の見直しと更新が必要になる可能性が高くなります。また、新規事業を開始し、そこに大きな経営資源を投下するようなことがあれば、前提となるリスクの高い自然災害の決定から遡って見直しが必要になることもあります。

企業(事業)というのは生き物ですから、時間の経過に伴って、自社の内部にある経営資源はどんどん変化していきます。これらの変化は、事業継続への対応を見直す必要性を高めることになるのです。

実際に見直しはどの程度されているのか

自然災害等のリスクに備えて策定される事業継続力強化計画ですが、似たものにBCP(事業継続計画)があります。

ザックリ言えば、BCPの初歩とも言えるものが事業継続力強化計画です。BCPも事業継続力強化計画と同じように、計画策定に加えて、実際の運用や継続的な管理(これをBCM(Business continuity management:事業継続マネジメント)と言います)が重要になっています。

※事業継続力強化計画とBCP(事業継続計画)の違い、が気になる方は「事業継続力強化計画とBCPの違いは、あってないようなもの」で確認してください。

BCPに関しては以前から中小企業においても積極的な普及を促進していた経緯もあり、さまざまな統計資料が存在します。

中小企業白書では、BCP策定済みの企業のうち、訓練や見直しを行っている割合を紹介しています。この資料では、中長期事業計画策定有無別に分けて分析しており、中長期事業計画策定企業の方が取り組み割合が高いことを示しています。

とはいえ、定期的に再検討(見直し)を行っている企業は、半数にも満たない数値となっており、積極的な見直しがされているとは言えません

中小企業のBCPの検証・訓練・見直しの状況、グラフ
出所:中小企業白書2016、中小企業庁

株式会社NTTデータ経営研究所の調査では、「策定したBCPについて、事業方針や業務内容変化等を踏まえた見直しの実施」、「策定したBCPについて、人事異動・組織変更等を踏まえた更新」について実施している企業は半数にも満たないことが分かります。

さらに、実施していないし実施する予定もないと回答している企業は2.5~3割程度も存在しており、BCPの運用・管理においては継続性という課題が指摘することができます。

BCPの運用・管理の実施状況、グラフ
出所:「東日本大震災発生後の企業の事業継続に係る意識調査(第5回)」、2019年3月8日、株式会社NTTデータ経営研究所

BCPの調査結果は、事業継続力強化計画にもそのまま当てはめて考えることができますので、認定後の運用についてもしっかりと行っていくことがポイントになると言えそうです。

実際、どのくらいの頻度で見直しが必要なのか

事業継続力強化計画は、事業継続力の源泉を「経営資源」に置いています。そのため、経営資源に変化が生じた場合には、見直しを行うタイミングです。

特に、事業継続力強化計画の内容のうち、事前対策を検討した経営資源に変更が生じた場合には、対策への取り組みが変わるということも考えられますので、見直しが必須となります。

経営資源は生き物のように常に変化する存在であることも事実であり、重大な変更には経営者も敏感に察知できますが、それ以外では事業継続という観点でその変化の重要性に気づけない場合もあります。また、いわゆる通常業務に追われ、見直しの機会を逸してしまうということもあるでしょう。

このような場合に備え、理想的には経営資源が変更される都度の見直しが望ましいとしながらも、最低でも1年間に1回の見直しを行う必要があります。

事業継続力強化計画では、最低限、訓練や教育に関しては1年に1回の実施、見直しに関しても1年に1回の実施を認定条件としています。これらは、同時に行うことを妨げるものではありませんので、毎年実施する総会などのタイミングで、見直しと訓練を同時に行い、それを毎年の社内行事として定着させるという方法も良いでしょう。

ただし、従業員の安全確保に用いる連絡先リストや連絡網は、初動対応としても極めて重要なツールとなりますので、従業員の入れ替えが生じた都度、更新を行うことが求められます。

事業継続力強化計画の変更申請

事業継続力強化計画の見直しを行い、変更や更新の必要性が生じたときの取り扱いについて整理しておきます。

まず、見直しを行うといっても、計画そのものに変更を加える必要のないことも多数あります

外部環境や内部環境が、策定当時から何も変わらなければ、見直しの結果、特に変更や更新をすることは必要ありません。

また、内部環境が変化した場合、具体的には、従業員の入れ替えによる連絡先リストの更新は、事業継続力強化計画の内容そのものの変更を伴うものではありません。同様に、避難訓練を実施した結果、より短時間で避難することのできる避難経路を見つけたため避難経路を変更する場合にも、事業継続力強化計画の変更は伴いません。

事業継続力強化計画では、対応の内容や手順などについて検討を行うことになっていますが、それ以上の具体的なことについては求められていません。

例えば、従業員の安全確保のため、連絡先リストを整備するということまでは計画に記載しますが、連絡先リストそものは申請時に提出しないことから、連絡先リストを更新しても、それは事業継続力強化計画の内容を変更させるものではありません。

したがって、このような変更は、自社内で自由に変更し、常に最新の情報を保つことや最適化しておくことで、見直しと更新の作業は完了します。

認定を受けた事業継続力強化計画の変更と、自社内で整備されたツールなどの変更では、扱いが違うということです。

事業継続力強化計画では、内容に変更があった時には、変更申請を行うことができるようになっています。

変更申請

認定を受けた中小企業者は、当該認定に係る事業継続力強化計画を変更しようとするとき(設備の追加取得や連携対象企業の追加等)は、経済産業政省令で定めるところにより、経済産業大臣の認定を改めて受けなければなりません。必要書類を担当窓口までご送付ください。
なお、資金調達額の若干の変更、法人の代表者の交代等、第50条第3項の認定基準に照らし、認定を受けた事業継続力強化計画の趣旨を変えないような軽微な変更は、変更申請は不要です。

出所:事業継続力強化計画策定の手引き

事業継続力強化計画で変更申請が必要になるケースとしては、大幅な変更を伴う場合が想定されています。

例えば、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、既存事業の経営スタイルを大きく変更した場合や、新規事業へと完全に移行した場合などに、事前に認定を受けていた設備とは異なる設備を取得するようになった、というケースです。

このような場合には、設備取得に関係して金融支援や税制優遇などが影響するため、変更申請が必要だということです。

通常であれば、事業継続力強化計画の見直しを行ったとしても、それは軽微なものが中心と考えられ、設備取得にまで変更を及ぼすようなことは少ないでしょうから、変更申請の提出機会はほとんどないと考えてよいでしょう。

いずれにしても、変更申請の有無とは別に、事業継続力強化計画は継続的に運用・管理することで、確実に社内に定着し、緊急事態発生時には高い実効性を発揮できるようになりますので、策定だけで満足しないことが重要です。

また、事業継続力強化計画に記載した実施期間(3年以内)を経過したならば、あらためて事業継続力強化計画を策定することで、より最新の内容で計画策定を行うことができるため、実効性を高めることができるようになります。もちろん、1回目の策定時よりもより具体的かつ詳細な計画へとブラッシュアップすることもできるはずです。

まずは周知から

事業継続力強化計画は運用・管理が肝になるといっても、ほとんどの中小企業・小規模事業者においては、従業員のみならず管理者を含め、事業継続に対する意識はそれほど高くはありません。

訓練や見直しへとスムーズに橋渡しするためには、導入をしっかりと行うことがポイントです。

運用については「事業継続力強化計画の認定後は運用を!最低この3つはやろう」にまとめてあります。

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