事業継続力強化計画がコロナ感染症等に完全対応!手引き更新(令和3年1月15日版)

事業継続力強化計画

事業継続力強化計画の策定において必須のマニュアルともいうべき「事業継続力強化計画策定の手引き」が令和3年1月15日付けで更新されました。

変更点は「日本標準産業分類における中分類を追記」」と、「感染症に対する内容の詳細等を追記」の2点です。

特に、感染症に関する内容が非常に充実したところが大きな変更だといえます。旧版(令和2年12月28日版)のページ数は82ページでしたが、更新版では98ページとなっており、全体で16ページものボリュームアップとなっています。

ボリューム増加分の多くが感染症に関することとなっており、事業継続力強化計画において、自然災害(地震・洪水・土砂崩れ、等)はもちろんですが、新型コロナウイルスをはじめとした感染症への対策を重視していることを指摘できます。他にも、読み物兼情報提供として「コラム」が数ページ追加されており、対策情報などが今まで以上に充実したものへと更新されています。

なお、今回の事業継続力強化計画策定の手引きの更新に伴う申請書の更新・変更はありません。今までの申請書(現時点の最新版は、押印が不要となった令和2年12月28日更新版)を使って認定申請を行うようになります。

令和3年1月15日更新版の変更点

事業継続力強化計画策定の手引き令和3年1月15日更新版の変更点

日本標準産業分類における中分類を追記

事業継続力強化計画に係る認定申請書には、申請企業の基本情報を記入するところがあります。

業種欄には、日本標準産業分類の中分類を記載することの指示があり、これは従来の策定の手引きにおいても存在しました。しかし、実際に紹介されている外部サイトのリンク(日本標準産業分類コード)に行っても、非常に分かりにくく、間違いが多かったものと推察されます。

事業継続力強化計画策定の手引き(令和3年1月15日版)21ページ
策定の手引きに書かれている注意点
リンク先の日本標準産業分類コードページ
指定されたリンクページ

今回の更新によって、策定の手引き内に「日本標準産業分類の中分類」が示されるようになりましたので、この中から自社の業種を選んで記載すれば良くなりました。

事業継続力強化計画策定の手引き(令和3年1月15日版)22ページ
事業継続力強化計画策定の手引き(令和3年1月15日版)23ページ

自社の業種にピッタリ合うものがない場合やどこに該当するのか分からない場合には、小分類を確認する方法があります。

該当する業種を小分類の中から選び、その上位となる中分類を選ぶことで、正確な業種分類とすることができます。小分類はこちら「総務省|統計基準・統計分類|日本標準産業分類(平成25年10月改定)(平成26年4月1日施行)-分類項目名 」から確認することができます。

感染症に対する内容の詳細等を追記

令和2年10月より、事業継続力強化計画の支援対象に新型コロナウイルスなどの感染症が追加されました。それに伴い、事業継続力強化計画策定の手引きも令和2年10月5日に更新され、感染症対策が盛り込まれています。

今回の更新では、感染症に関する情報が一気に増えています。今までは、感染症の対策は自然災害のおまけ程度の扱いとも思えましたが、今回の更新では感染症は自然災害と同等、またはそれ以上の扱いがされていることに注目することができます。

事業継続力強化計画策定の手引き(令和3年1月15日版)28ページ感染症対策情報
追加された感染症情報の一例
事業継続力強化計画策定の手引き(令和3年1月15日版)50ページの情報コラム
コラムによる充実した情報提供

感染症に関する情報は、策定の手引き全体を横断する形で大きく追加されています。また、コラムという形で読み物としての情報提供も充実が図られています。

今後の事業継続力強化計画の策定は感染症を踏まえた内容がベスト

令和2年10月の法改正によって、事業継続力強化計画の支援対象となるリスクに感染症が含まれることで、「自然災害」に加えて「感染症」も事業継続力強化計画の策定において重要なリスクであるといえます。

現時点では、事業継続力強化計画の認定を受けるために、感染症についての想定・検討を行うことは必須とはなっていません
そのため、現在は事業継続力強化計画の策定パターンとして次の3つがが存在することになります。

  1. 自然災害のみを想定した事業継続力強化計画
  2. 自然災害と感染症を想定した事業継続力強化計画
  3. 感染症のみを想定した事業継続力強化計画

現行の認定制度においては、いずれのパターンでも認定を受けることができます。認定等に区分があるわけではなく、どのパターン(内容)で認定を受けても、通常の認定として取り扱われます。

企業が置かれている環境は異なりますので、自然災害のリスクが特に高い事業者もあるでしょうし、感染症のリスクが事業継続に大きな影響を及ぼすという事業者もあるはずです。

とはいえ、今回行われた策定の手引き更新では、3つのパターンのうち、「自然災害と感染症を想定した事業継続力強化計画の策定」が強く推奨されています。

事業継続力強化計画策定の手引き(令和3年1月15日版)17ページ
出所:事業継続力強化計画策定の手引き(令和3年1月15日版)17ページ

事業継続力強化計画認定制度がスタートしたのは令和元年7月で、この時には頻発する自然災害(地震、台風による洪水・浸水など)への対策が主眼となっていました。

しかしながら、令和2年4月以降の新型コロナウイルス感染症の拡大によって、事業継続が困難となる事業者が数多く見られるようになっており、その脅威は自然災害発生時を超えるレベルであるとも言えます。

このような状況にあって、事業継続力を強化するためには、自然災害だけでは不十分であり、感染症への備えも喫緊の課題であると言えます。これは、現在の新型コロナウイルス感染症への対策はもちろん、今後発生する可能性がある新型インフルエンザ感染症等も含めた観点で考えておく必要があります。

自然災害と感染症を対象にした事業継続力強化計画の策定での留意点

事業継続力強化計画の策定においては、策定の手引きで解説されているように、5つのステップで検討を進めていくことになります。

事業継続力強化計画策定の5つの検討ステップ
出所:事業継続力強化計画策定の手引き(令和3年1月15日版)15ページ

策定の手引きでは、自然災害と感染症を両方とも検討していく場合には、STEP1からSTEP5まで自然災害と感染症を同時に考えていかなければならないという印象を受けるかもしれませんが、実際には両方を同時に検討する必要はありません。

自然災害と感染症は、事業に与える影響や対策方法など、視点を変えて検討していかなければいけないような箇所が多くあります。

そのため、事業継続力強化計画の策定時に「自然災害」と「感染症」の両方を検討する場合には、それぞれを別に考えてから組み合わせる方法がおすすめです。

まずは自然災害についてのみ検討を進め、事業継続力強化計画に係る認定申請書に記載を行います。その後、感染症について検討を進め、事業継続力強化計画に係る認定申請書に追記を行います。その後、自然災害と感染症両方に関連する箇所について特に重点的に、内容に問題がないか確認を行います。

策定の手引きにもありますが、申請書への記入(記載)にあたっては、自然災害と感染症を原則として分けて記入するようになっています。従って、それぞれを別に検討した場合でも、記入時に困るということはありません。

既に事業継続力強化計画の策定を受けている事業者は感染症対策を追加しよう

事業継続力強化計画の認定制度がスタートしてから、令和3年1月末現在で22,047件が認定されています。感染症に関する内容が追加されたのは令和2年10月以降ですから、少なくてもそれ以前に認定を受けた15,134件(令和2年9月末時点の認定件数)の事業継続力強化計画に関しては、感染症に関する内容は盛り込まれていないということになります。

今回更新された事業継続力強化計画策定の手引きにおいては、既に事業継続力強化計画の認定を受けた事業者であっても、新たに感染症対策を盛り込んだ事業継続力強化計画の策定を強く推奨しています。

既に認定を受けている事業者が感染症に関する内容を追加する場合、新規で認定を受けるのではなく、変更申請を行う必要があります。

新型コロナウイルス感染症の影響はまだまだ続くことが予想されます。また、自社が感染症とは関係ない場合であっても、取引先の感染などによって自社の事業継続に大きな影響を受けることも今回の新型コロナウイルス感染症によって明らかになってきました。

事業継続力強化計画においては、自社だけではなく取引先等の被災・感染が生じた場合なども想定することができるため、感染症リスクについての検討を深めていくことができると言えます。

既に事業継続力強化計画の認定を受けてはいるものの、感染症については検討を行わなかったという事業者は、この機会に感染症についての検討を行い、事業継続力強化計画の変更申請を行ってみるのはいかがでしょうか。

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