令和元年度の事業継続力強化計画の認定数と都道府県別認定率

事業継続力強化計画

中小企業強靭化法の施行に基づき、令和元年7月16日より事業継続力強化計画の認定制度がスタートしています。

事業継続力強化計画の認定は、全国に9か所ある経済産業局で行われており、制度開始後に第1号の認定がされたのは8月末となっています(関東経済産業局では、8月30日付で認定)。その後は毎月、認定が行われており、月ごとの認定件数は中小企業庁のホームページ上で公表されています。

令和元年度(2019年7月の制度開始から、2020年3月認定分まで)の認定状況を確認していきます。

事業継続力強化計画の認定数

事業継続力強化計画の都道府県および地域別の認定数・認定率(令和元年度)

PDFデータ(事業継続力強化計画の都道府県および地域別の認定数・認定率(令和元年度)

1.全国の認定数

事業継続力強化計画の令和元年度(認定制度開始からおよそ8か月間)における認定件数は、5,920件となっています。

平成28年7月よりスタートした「経営力向上計画」は、5か月後(平成28年12月末)の時点で10,101件の認定件数でした。両制度の趣旨や対象企業は異なるため、認定件数の数値のみで単純比較はできませんが、事業継続力強化計画の認定件数は、経営力向上計画と比べるとスローペースであるといえます。

2.認定数が上位の都道府県

東京都が546件と最も多く、大阪府の538件、静岡県の401件、愛知県の392件と続いています。

いわゆる三大都市(東京・名古屋・大阪)が上位となっていますが、これは中小企業の数(対象となる母数)が多いことが理由であると考えられます。ただし、静岡県は愛知県の半数程度の中小企業数ですので、例外的に件数が多いということになります。

3.認定数が多い地域

関東地方が2,117件と最も多く、近畿地方が1,177件、九州地方が684件となっています。上位の都道府県(東京都・大阪府)がその地域をけん引するかたちとなっていますが、愛知県が含まれる中部地方は682件と、九州地方に次ぐ4位の順位です。

中部地方と九州地方では、中小企業数も比較的似た数となっていますので、認定数も似た傾向にあると考えられます。

これから、都道府県別の認定数だけを見ると、中小企業数とある程度の相関関係があると言えそうです。

ところが、認定率を算定し、都道府県別の状況を見るとこの結論は必ずしも正しくないということが分かります。

事業継続力強化計画の認定率

都道府県ごとに認定率(各都道府県の中小企業総数のうち認定された中小企業の割合)を算定してみました。

全国の認定率は0.165%となっています。

都道府県別にみますと、最も高いのは岡山県の0.344%、次いで静岡県が0.335%、香川県が0.321%と続いています。

認定率に関しては、中小企業数との相関関係は見られません。東京都は0.132%、大阪府は0.199%、愛知県0.188%と、いずれも岡山県・静岡県・香川県の認定率を大きく下回っています。

まだ認定制度が始まったばかりなので、認定率の差は誤差の範囲であると解釈するのが妥当であるともいえるのですが、敢えて理由があるとしたらどのようなものが考えられるでしょうか。

岡山県では2018年7月に平成最悪の水害ともいわれた西日本豪雨が発生していますから、「自然災害等の対策に対する意識の違い」が現れていると考えることもできなくはありません。あるいは、静岡県はここ最近で大きな自然災害等の発生は特になかったため、支援機関等が事業継続力強化計画の策定を積極的に後押しした、ということがあったのかもしれません。

いずれにしても、中小企業数と認定数に相関関係があるとは言い切れないのは確かですから、今後、都道府県ごとにどのような推移となっていくのか、定期的に分析をしてみると何か傾向のようなものが明らかになるかもしれません。

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